子育て Q & A
 上の娘が左利きのようで、道具(ハサミ)も左用を準備して左で教えてよいものでしょうか?  

 右利き用のハサミは右手で使い、左利き用のハサミは左手で使うのが常識です。でも、早くから左利き用のハサミを与えるのは疑問です。

 知り合いの歯医者さんから「友人で左利きの人がいるが、開業するにあたって機具一切を左利き用に特注したので、ずいぶんと経費がかかった」という話を聞いた事があります。このように世の中の多くの人が右利きである以上、左利きをそのまま認めてしまうと本人が将来いろいろな場面でやりずらさを感じるのではないでしょうか。

 昔は左利きの子どもを右利きに改める風潮がありました。最近はそれほど気になさらなくなったように思います。しかし、駅の自動改札口ひとつ例にあげても、世の中は右利き主体の世の中だと言えます。

 幼稚園で使用するハサミも一般的に右利き用なので、右利き用の道具を左手で持つのは不自然です。でも、左利きの子ども用のハサミを取り揃えてくれる幼稚園がどのくらいあるか、疑問です。

 右利き左利きが大脳にどのような影響があるものか、まだ解明されておりませんが、どちらにしても、両手が器用に動く事の方が良いであろう、と私は考えます。

 右利きのお子さんの場合、左手がおろそかになる傾向があるので、積極的に左手を使用するような遊びを行う。左利きのお子さんの場合、お箸や鉛筆ハサミといった道具は出来るだけ右手で使用できるようにする、という事です。

 「私は幼い頃、無理矢理右利きに強制されたので、とてもいやな思いをしました。」とか、「左利きを矯正すると、チック症になるとか聞きますが。」という方もおられます。

 そんな時私は、「大丈夫、右手でさえまだ充分に使いこなせてないんですもの。道具を手渡す時に右手に渡すようにすれば好いんですよ。」と、答えます。

 「すぐに持ち替えたら、もう一度右手に持たせましょう。だんだん右手に持つ時間が増えて、上手に持てるようになりますよ。」。4〜5歳児の場合は「最初は大変だけれど、頑張って右手で持つようにしてね。漢字でもなんでも右手で書くように出来ているのよ。」と、本人に話します。

 事実、習字をかじった人ならお分かりですが、ひらがなでも漢字でも、右手使いで形がつくように出来ているからです。左利きの方は止めや払い・筆順も含め、自然の流れとは逆に意識して書いていることになります。

 ハサミだけではなく、線引き(定規)にも右利き・左利き用がある事をご存知でしょうか。市販の多くは0の位置が左端にあり、右に行くにしたがって数値が大きくなっている。つまり、右利き用なのです。左利きの方はこの線引きを使って線を引く方向も、当然逆から線を引きますので、0の位置も違ってきます。

 何パーセントの割合で左利きのお子さんが生まれるという確かなデータは見たことがありませんが、意外に多くのお子さんが左手をよく使っていると感じます。その時、左利きだと決めないで、道具を与える時は右手で使うようにしむけてみてはいかがでしょうか。

 野球の選手に限らず左がもてはやされる事もあります。決して左利きを嘆かないで下さい。

 むしろ、個性と捉えるべきです。そうすれば矯正ではなく、『その子の出来る範囲を広げる』という認識が出来てきます。そういう立場に立って道具の使い方を指導する事で、子供は『道具を使いこなす喜び』を知り、たくさん製作をしたがる子になっていきます。

                                            福岡 潤子