子育て講座 第3回 パパたちの潤心会 

してよいこと悪いことを考えられる子にする「言葉かけ」 

 

(パパたちへ)

小学校での学校崩壊が話題になって十年以上になりますが、今、小学1・2年生の校内暴力が問題と なっています。

イライラや怒りをコントロールできない学童がその矛先を周囲の人間(教師や同級生、自分自身)に向けるようになっているとのこと。このような行動をする子どもたちは、脳の前頭前野(前頭葉)の発達がなされない不活性型の子どもたちと呼ばれます。

なぜこのような子どもたちが増えてきたのでしょうか。年齢に応じて物事の概念化する、コミュニケーションを通して物事の本質を考える、そのような機会が与えられないまま卒園するからなのではないでしょうか。子どもに対し指示・禁止・命令はよくないと言いながら日常的にそれが繰り返されることで、子どもの意思や考える力が育たないことによるものだと私は考えます。

子育て支援が叫ばれていますが、他の動物との違いである「言葉で伝える」部分への具体的な援助が母親になされていないため、子どもが思うように育たないことへのストレスを抱えている母親は多くいます。本日は、それを解消するためのヒントや具体的な問題解決策について、お父様方と語り合いたいと思います。

 

研究者や現場の教師たちは、脳の前頭前野(前頭葉)の不活性型とよばれる子どもが増えていると指摘しています。脳の研究者は「体を動かす遊びが足りない。第1次反抗期(2歳前後)と第2次(中学生)の間としての反抗期があるが、体を動かすことで、脳が活性化し自己抑制を行う前頭前野(前頭葉)も鍛えられる」と。

教育研究者は「自分の衝動を抑えることができなくなってきている。教師へのアンケートで、不活性型の子どもの数は、17年前は30%だったが今は倍近くになっているとの結果がでた。言葉でコミュニケーションをとることができない子どもたちはすぐに体で表現。家庭ではいい子で、学校で発散する。親が忙しいのを分かっていて親に自分の思いを伝えられなかったり我慢したりしてしまっている」と。

 

ダメという言葉が子どもをダメにする

乳幼児期や自我が芽生えた時に触ってはいけないモノを触る、あるいは触ってはいけないとわかっていて触るという行為がみられます。その際、親は『まだ幼いから(言ってもわからない)』と許容し、子どもの手から取り上げたり子ども自身を遠ざけたりする行動を行います。

この時点で、親のするべきことは「触っていいものといけないモノがある」ということを子どもに学習させることが重要なのです。逆に言うと、触ってはいけないものを子どもに触らせている状況を作ってはいけないと言えます。また、ダメと言う言葉ではなく、「○○は何するもの」といった概念を伝え、それにそった扱い方をしなかった場合は年齢に応じた叱り方を行います。

群れのリーダーにしてはいけない

大人の意思とは無関係に、どの子どもも群れのリーダーになりたがります。結果的に親は子どもの召使いになり、何でも言うことを聞いてあげます。すると子どもは自分の思い通りに行かない時はぐずったり泣きわめいたり八つ当たりをするという形で怒りをアピール、結果的に親は子どもの言うことを聞いてしまいます。

実は、その時こそ、自己抑制をするチャンスなのです。つまり、前頭葉の不活性型になるかならないかの分岐点とも言えます。逆に言えば、本人の感情が出せる環境を作ることです。

 

本質を見極める力を育てる

幼稚園に入園すると、こども同士の中でトラブルが発生します。そのトラブルに対する大人の援助の仕方によって、次のチャンスがうまれます。ところがいらない大人の介入によって、子どもにとって納得のいかない決着や本質から外れた問題解決法によって、子どもは間違った考え方を自分のものとしてしまいます。その結果が、子どもの見えないイライラとなってくるといえます。

 

他己意識

私の造語ですが「他己意識」についてお話しします。子どもは大人のように自己分析できないことで、周りが「○○ちゃんは恥ずかしがり屋さん」「○○ちゃんはよく頑張る子」といった他人の言葉、つまり、他人が自分を分析したものを自分のものとしてしまいます。

45歳になって周りが見えるようになってくると、自分の得意不得意が見え始め、周りのなにげない言葉によって、余計それが「自分はこうだ」との思いが強まります。ここで大切なのは、一度出来上がった他己意識を良い方向にもっていくには、それを払しょくするだけの成功体験が必要だということです。

コツとしては結果をほめるのではなく、取り組んでいる姿勢を認めたり部分をほめたりすることです。

この他己意識は子どもの心が萎えている時に使用すると、良い方向に導くことができます。この年齢の子どもは、ちやほやされたり急に怒られたりすることに慣れています。そこで、「○○ちゃんは〜ができない子なんだね」とわざと突き放した言い方をします。すると子どもは「イヤ!」「ダメ!」と、自分がそのように思われたくないという感情をもち、頑張るのです。その時に、そう思われても良いと云った表情をしたら、自己肯定感が低い証拠で重傷です。そんな時はまた、違ったアプローチをしていくしかありません。一つひとつできたという体験を積み上げるのです。

父親と母親の役割の違い

すべてにおいて、子どもに対する大人の具体的な言葉かけが肝であるということです。最近、「イクメン」と呼ばれる父親が増え、子どもの世話をしたり、母親と同じように子どもに注意をしたり甘やかすといった言動が目につきます。

ジェンダーが叫ばれ、女性が差別されることには反対ですが、女性らしさや男性らしさは必要です。それがまた、母親・父親としての役割にもつながってくるからです。

1週間に一度汗をかくほどの運動をすると、病気に対する防衛体力が養われると言われています。どうぞ、男児のお父様はもちろん、女児のお父様も子どもと思いっきり体を通して触れ合っていただきたいと思います。

また、子どもにとって身近すぎる母親には相談できないことでも相談してくれるようになるために、母親とは一歩離れたところから子どもの言動を観察し、言葉を発する必要がある時は子どもが自ら考え行動するようなことを口にしていただければと存じます。

子育てに一生懸命に取り組んでいる奥様の言葉には、策を与えるより同調する言葉をかけてあげていただきたいと思っております。

                           潤心会・母と子のオムニパーク 

 福岡 潤子