気力を育てるW

努力を惜しまない子に育てよう

 

 大人の場合気力が充実していれば、困難に出会っても乗り越える事が可能です。が、幼児の場合、せっかく好奇心を持って取り組んでもそれに伴うスキルがないと、『自分に向いていない』とすぐに諦めたり、努力もせずに投げ出してしまいがちです。

 そうならないようにするには、日頃から努力をすることを惜しまない子にしておく事が大切です。やりたくないことであっても面倒がらない、苦手であってもとりあえず挑戦してみようと思える、そんな子に育てるように心掛けましょう。でも具体的にはどうすればよいのでしょうか。

 何事においてもやる気を持たず人を頼ってしまいがちで得意なものに対しては妙な自信を持つ事が多い子は、『自分ならできるかもしれない』と思えず『自分が今頑張らなくても結局周りの人間がフォローしてくれる』と、体験上感じているからと言えます。つまり、自分の力でできたと思える体験が乏しい事が原因です。

 逆に、頑張る子は自分の不得意分野でもモノにしようとします。自分を信じる心を持ち、前向きな思考ができるからです。挫折する子は、体験した事しない事或いは自分の得意不得意と云った区分けをしっかりと自分の中で持ってしまい、その中でやれるやれないを決めてしまうからとも言えます。

 興味のあるものを調べたり見るだけで、知識として増やすだけなら問題はないのですが、虫や草花を標本にしてまとめる場合、実際に自分の手を使って行わなければなりません。虫の場合、捕まえるのにコツがいり、本人が虫好きであっても虫の方はおかまいなく逃げてしまいます。また、扱いが悪ければ足の1本や2本すぐにとれてしまい、そうっと扱う慎重さや細かい作業を行う巧緻性がなければならず、虫ピン一つ打つにも細心の注意と知識が必要とされるのです。

 スポーツの場合も同様です。以前イチロー選手が「僕の事を天才と言う人がいますが、僕は、そうは思っていません。なぜなら僕は人の何倍も努力し練習しているからです。」と云う事を言っていました。また、アメリカの子ども達のインタビューに対し「自分の成りたいものに向かって努力する事。そして、道具を大切にする事(が、大事)」と答えていました。野球に限らず一流選手は道具も特注で手入れ如何で使い易さまで変わるとすれば、当然の弁と言えますが、それだけいろいろなモノや努力によって今の自分があると感じているからなのではないでしょうか。

 幼児が何かに興味を持った時最初から諦める事のないように、日頃から巧緻性や知的発達を促し、自分を信じられるような良い体験 を積むように心掛けておきましょう。                      

                       (文、福岡潤子)


          

 

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