気力X(気力を育てる)

 成りたいからと言ってプロになれる訳ではありません。バラエティ番組に出てくる元スポーツ選手に対し他の出演者が「スポーツ馬鹿」という言葉を使う事があります。スポーツでは名を成したけれど、他の分野の事は無知であるという事を揶揄しているのです。確かに朝から晩までスポーツ中心の生活を送っていれば本を読む時間も充分とれないでしょうし、一般的な常識にも疎くなりがちでしょう。が、スポーツを行う上でも頭が悪ければ一流には成り得ません。野球のイチロー選手やサッカーの中田選手などは学校の成績も優秀だったのはみなさん周知の通りです。

 が、学校の成績が悪かったとしてもスポーツが得意だとすれば、脳は優れていると言えます。だいぶ前ですが体験入室で、「体が利く子にしたいので、頭が悪くてよい」とおっしゃった方がいました。その時『おかしいな。体が利くようにするには脳を刺激しなければいけないし、脳が刺激されれば頭の良い子になるはずなのに』と思いました。事実、幼児の場合、頭の良い子の多くはスポーツも上手です。

 

 上には上がいます。資質に優れていたとしても自分の努力を必要とされる時が必ず訪れます。それを乗り越える事でまた次を乗り越える力が生れ、それが気力になっていきます。そして、それを確かなものにするのが強い意志です。「勝ちたい」「自分をこのレベルまで持って行きたい」「夢を叶えたい」。そして、自分にはそれができると云った「自分を信じる心」です。逆に言えば、夢が漠然としていたり、自分が生きているという実感を持てないでいる子は一流にはなれないと言えます。

 何事にもやる気のない子や体を動かす事がきらいな子の場合、脳が活性化するような習慣を身につけさせましょう。それには「日頃から体を動かす」の一言につきます。まず、身の回りの事は自分で行う事。できればお手伝いも積極的に行わせましょう。その際、お手伝いの範疇にとどめず、やらなければならないと云った責任を伴うようにしていくと、幼児は気持ちの持ち方から変化していきます。その際、義務としてやらせては、ますますやる気を失わせてしまいます。人の役に立つ喜びを知らせ、そのために頑張るという意識を持たせるようにする事が大切です。

                        福岡 潤子

 

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