早期発見・刺激について 

  (新生児難聴)

 

 幼児教室を主催していると、幼児だけではなく新生児に会う機会も少なくありません。ぷくぷく太った赤ちゃんに比べると、新生児は見かけは俗に言う「さる」です。が、私の目には新生児特有のかわいらしさがあふれ、何時間でも見ていたい気分で一杯になります。『持って生れた気質は?』『これから、どんな子に育つのかな。』などと想像も膨らみます。そして、どの新生児も、このまま健康にすくすく育ってくれればと心から願わずにはいられません。

 ところが残酷な事に、生れてすぐの検査などで大きな病気や障害が発見され、子を持った喜びと共に大きな不安や悲しみを背負う方達がいることも、現実なのです。

 それではその事実を知らされるのが後のほうが良いのでしょうか?親の心情を思えば、いろいろな意見があるでしょう。が、本人の事を思うと、一刻も早く周りの大人が知る必要があると私は思います。それは早期に発見する事で、その後の対応が変わり、それが良い結果につながると思うからです。

 

 企業のサイトですが、新生児難聴について書かれているサイトを最近知りました。新生児難聴を発見する重要性が説かれ、国や学会の取り組みが紹介されています。難聴で苦しむ子供をひとりでも減らすための情報サイトという感じです。 これから出産を考えている方、出産を目前に控えている方、 出産直後の赤ちゃんがいる方たち、またその家族の方々などは1度訪れてみるとよいと思います。

 http://www.nippon-euro.co.jp

 

 長年幼児教育に携わっていますが、『あと半年早く入室していれば本人もお母様もこんなに苦しまなくて済んだのに…』と思う事がよくあります。手遅れとは言いませんが、もう少し早く私自身が関わる事ができれば、今この時期にこの状態はないと断言できるからです。

 もちろん、私一人の力でと云う訳ではありません。一番身近な母親の存在が大きいのです。どのような場面でどのように幼児に接すればよいのかが解り実践する事で、幼児は確実に成長(変化)していきます。つまり、家庭内での刺激が違ってくる事が最大の要因なのです。

 オムニパークにも言葉の遅れのある子や集団生活になじめない子などが入室してくる事があります。幸せな事に、そのような子供たちは皆問題点がどこにあるのか解らないほど成長し、小学校へと育っていきます。

 そんな事例をたくさん目にしている私には、特に「早期に発見する事の重要性」が感じられます。難聴に関して言えば、言語の習得の際、大きなハンディになることは言うまでもありません。でも、習得の時期にその事実が解る事で、その後の対応を変えることが出来ます。つまり気づかずにいるよりずっと良い方向に変えることが出来るのです。

 人間の身体はまだまだ未知な部分が残されています。特に大脳は大きな可能性を秘めています。耳の聞こえない子が素晴らしい音楽を奏でたり、脳の遅れがあると言われている人が素晴らしい絵を描いたり…。先日も2〜3歳程度の言葉能力しかないと言われている子(16歳)が長い台詞や歌を歌いミュージカルの主役をどうどうとこなしているのを目のあたりにしました。

 幼児の脳はダメージをうけても他の部分がカバーするなど、考えられない発達をとげます。だからこそ、刺激が大切になって来る訳です。

 母親が乳幼児に無関心であったり、思い通りに育たないからと刺激することをあきらめてしまったらどうでしょう。異常を発見する事はおろか、正常な乳幼児であっても望ましい成長はかないません。今の世の中、子供に期待をする事は悪い事のような風潮があり、放任することが本人のためのように言われます。が、良い意味で期待し、そうなるべく刺激する事は、幼児期には特に大切だと、私は考えます。

                       (文、福岡潤子)


          

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