学期のはじめに

         

 毎年2学期の直前に夏期保育があり、真っ黒な顔に日焼けした子供達と会うのが恒例になっています。

 1学期末の段階でお姉さんお兄さんになっていた幼児が赤ちゃんのような表情の顔に戻り、がっかりさせられる事が、以前はありました。が、ここ数年は、むしろ、一回り成長した表情をみせてくれる幼児が多くみられ、この時期が楽しみになってきています。

 これはお母様方の意識の違いにほかなりません。今年は例年になく暑い夏でしたが、規則正しい生活を心掛け、目的意識をきちっと持ったお母様方が、良い意味での「他己意識」を我が子に与える事が出来た結果だと言えます。

 反対に、おばあちゃまおじいちゃま御両親に可愛がられ、いろいろなものを与えられ、何をしても許してもらえる状態で夏を過ごした幼児の場合はどうでしょう。

 心が萎えてしまい、なんでも「やってやってえ」、或いは「なんで思い通りにさせない!」と周りに怒りをぶつける子になってしまいます。

 なぜ人は叱るのでしょうか。我が子が可愛いと感じるからこそ叱るのです。人に好かれ、社会で役立つ自立した人間になってほしいからではないでしょうか。

 叱られる事でつく心の傷を心配する方もいますが、そうではない叱り方を心掛ければよい事です。叱られずに育ち、将来辛い思いをするのは本人自身です。また、大変な子に育った報いを受けるのは親なのですから。

 

 幼児はペットではありません。赤ちゃんでもちゃんと感情を持っていますし、理解する力も持っています。ネコ可愛がりするのではなく、一人の人間として尊重 し、コミュニケーションをとってください。

 せっかく話しかけても常に指図や小言だったりしてはいませんか。大人同士だと互いに気を使いますが、相手が幼児だとついつい不用意な言葉を言ってしまいがちです。

 親は『自分のお腹から出てきた子供だ、何を言っても許される』『幼いので覚えていない』と、無意識に思っているのかもしれません。が、この世に産まれたその日から母親と子供は同体ではないのです。

 まずは「今日は良いお天気ね。」から始めてみてください。

 子供は『お天気ってなあに』と思うかもしれませんし、『雲さんは自分のおうちかな』『洗ったものがよく乾くからよかったね、おかあさん』と、思うかもしれません。

 このように短い時間でも考える時間を与え、心が育つような言葉掛けをすることが大切なのです。

 次に、できる(知る)喜びを知らせましょう。いろいろな事を通し、『僕(私)はこんな事もできるんだ』『こんな事も知っているんだよ、すごいでしょ!』と、思える事を身近な生活の中で体験させましょう。

 この喜びを知れば、自分に誇りを持ち、自分を好きになってくれるます。

 本質的に知的好奇心の塊でもある幼児にとって、新しい事を知ったり体験できる事は、なによりの喜びなのです。

 それが未来に生きる夢にもつながります。将来、巣立って行く我が子に今何を伝えられるのか、学期の始めに今一度考えてみてはいかがでしょうか。

                      福岡 潤子 

   

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