昨今の少年事件に関して

 

 子供たちと接していて一番気になるのは幼児のコミュニケーション能力の低下です。そのことにより、『自分の意思がうまく伝わらない』『思い通りにならない』という漠然としたストレスを抱えている子供たちが世の中に蔓延しているのではとさえ思えます。

 その結果、好ましい対人関係がうまく作れず、殻に閉じこもったり、我慢の限界から自分や人に危害を及ぼすという結果が、このような事件となって現れていると感じます。

 そうならないためにはどうしたらよいのか?これは何度も触れているように、親子関係を幼児期にきちんと作っておく以外に方法はありません。

 使い古されているかもしれませんが、本当の意味で我が子に愛情を持つこと、我が子に自分の価値観をきちんと伝えること、そのためにしてはいけないことをした時はきちんと叱ること。これ以外にはありません。

 子どもたちはみせかけだけの褒め言葉はすぐに見抜いてしまいます。そこにひそむ親の気持ちに応えようと、本来の自分ではない自分を演じるのも子供の性です。また、暴力的・圧制的な親に対しては自分の無力さを知り、反抗しても無駄だとあきらめてしまいます。

 我が子との付き合いはどちらかが欠けるまでとお話して参りました。それだけ長い付き合いになる我が子との関係をきちんと築き上げるということに、今一度世の中の親御さんは真剣になるべきではないでしょうか。

 まだ幼いからとかどのように接したらよいのか解らないからというのは言い訳にしか過ぎません。我が子の表情や言動を見ていれば、必ず親としてどのように接したらよいのかのヒントを我が子が発してくれます。それに対し、なんらかの返信を送ることが大切です。

 

 昨日ある私学の付属幼稚園に講演に行ってまいりました。会の始まる前に園長先生(小学校校長先生)と雑談をさせていただいた折、少子化の問題が話題に出ました。私はその折、「若い世代が子供を生みたがらないのは、よくない情報ばかり世の中に出ているからで、子育ての素晴らしさや子供に恵まれることの幸せが知らされないからだ」と話させて頂きました。

 このままでは日本人がいなくなってしまうかもしれないと言う人までおります。それをくいとめるなどということは、一般人である我々にとてもできることではありません。でも、お一人お一人が我が子をきちんと育て上げれば、大変さの何倍もの幸せが必ず返って来ると私は信じています。それが素敵な未来につながるのではないでしょうか。政治に対する不透明さや先行き不安など、決して安穏には暮らせない今日ですが、それを理由に意識を他に向けたり子育てから手を抜いてよいというものではないと私は考えます。

 どうか、一日に1回でよいのです。我が子と視線をしっかりあわせる努力をし、我が子の心が今どこにあるのか、見てみてください。

                                     

                       (文、福岡潤子)


          

 

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