異常気象

 このところ地震や津波など天災が相次いで起きております。日本だけではなく、ヨーロッパやアメリカなどの異常気象の被害もニュースなどで伝えられております。水の都ベニスでは水浸しで旅行客が裾をたくしあげながら観光する様子を目にしたかと思えば、今年は水位が下がりすぎゴンドラの運行が困難になった箇所もあるそうです。

 一概に原因は言えないそうですが、人間のしてきたことが自然に与えた影響の結果であると感じるのは、私だけでしょうか。このような問題になってくると個々の国だけが努力してどうなるといった問題ではありません。地球上の国々が協力し合って考え努力していく必要があると思います。

 テロや小さな紛争は地球上のいたるところで見られ、貧富の差はますます激しくなっています。そういったものを見るにつけ、男女の出生の率が違うことに意味があるのかと改めて感じてしまいます。もともと生まれ出る割合は男子のほうが多いのですが、女児に比べ病気に弱いので亡くなる率が高かったそうです。また、紛争があると亡くなりという具合で、結果的に男女比が同じぐらいになっていったようです。

 日本は医療が充実し平和であるため、近い将来男性が望んでも結婚できないケースが増えると言われています。冗談のような話ですが、男子をお持ちのお母様は将来結婚させたいと思われるのなら、魅力ある男性になるような子育てを心がける必要があるのかもしれません。

古くから人間には資源を守るため、あるサイズより小さな魚は逃がす、また、木を切りながら苗木を育てる、といった知恵があり実行してきました。それは自分の子孫のためでもありました。

今は先のことよりも、利益追求が優先されています。これはものの見方が近視眼的であると共に、自己中心的になってきていることの現れのような気が致します。

子育ても同様です。親が将来的なビジョンを持たず、今、目の前の子どもを自分の言うことに素直に従う子にしたい、行儀の良い子にしたい、このように育てたいと云ったことにだけ終始してしまいがちです。

逆に、押し付けてはいけないと、本人の意思を尊重しすぎ結果的にだめにしてしまう、また、自分の子だからちゃんと育つだろうという幻想の元子育てに手抜きをしてしまうと云ったことが往々にあります。

これらのように極端から極端はいけないということは皆さんお解りだと思います。が、実際には自分のしていることは、案外わからない、つまり、そうなってしまっているかもしれないと云うのが実情ではないでしょうか。

子育てを考える時、自分自身の育ち方を参考になさる方もいらっしゃいます。が、自然環境が変化しているように、時代もまた変化しています。GPS機能付きランドセルが売れる時代です。1年の教科書はひらがなの読みからスタートしますが、すぐに読み書きができるのようになったという仮定の元に授業が進められます。子どもをとりまく環境そのものが大きく変化しています。

人は周りの人の影響も多く受けて育ちます。自分が育った時の周りの友達が、そのまま我が子の友達として現れるわけではありません。また、気質そのものも自分と我が子では違います。そういったさまざまな違いを無視して自分の育ち方を我が子に当てはめるのは無謀だとも言えます。

私は「教師は預言者」でなければならないと思っております。十年二十年後、幼い子が成人した時に社会に望まれる人間になっていてほしいと考えるからです。それには今の世の中をしっかり把握し、将来どのように変化するかを知らなくてはなりません。それを見誤らないためのアンテナを持つように常に心がけております。もちろん、社会がどんなに変化しても変らない人間としての大切なものを伝えるのは基本です。

これらをふまえ、今どのようなが刺激が目の前の幼児に必要かを考えます。なにげない一言が幼児に与える影響は計り知れません。皆さんも長い視野を持ってさまざまなことを捉えるよう留意なさってください。  

             

                      福岡 潤子