スローフード (保護者用プリントから)

 国民の中で圧倒的に人数の多い団塊の世代が定年を迎えることが、話題になっております。それらの人々の意識が、仕事中心の生活から自己実現へ、あるいは余生を楽しく暮らしたいというように、変化してきています。

 それに対応するかのように、どんな食べ物をとると健康でいられるかといった情報がテレビ番組で多く流されるようになったと感じます。

 同じ長寿でも、病気やけがなどで寝たきりではなく、亡くなるその日まで健康でいきいきとした毎日を過ごしたいという願望が高まり、形の上での長寿ではなく質が求められてきているからなのではないでしょうか。

 が、ハリウッドの俳優のように専用のコックが調理し、健康を管理してくれるのなら別ですが、一般人は「自分で、自分の口に入れるものに気をつけないといけない」と言えます。   

 市場に一般に出回っている野菜や果物は、二三十年前に比べるとあきらかに栄養価が減っていると言われています。また、養殖で薬漬けになった魚や保存剤などが添加され何が入っているか分からない食べ物が多くなっています。

 極端な例として、肉骨粉を与えられた牛がBSEになり、その肉を食べた人間が死ぬということも起きてきました。その結果、顔の見える食べ物として「○○さんちの落花生」というような生産者表示がなされた食べ物や、化学肥料や薬剤を使用しない野菜や家畜が店頭に並ぶようになってきたと言えます。

 無農薬の食べ物をとるように気をつけるだけではなく、同じものばかり食べ続けないことや、一日に30品目食べることが大事だとも言われています。幼いうちは皆さんが気をつけてあげれば済みますが、行動範囲が広がってくるとそうはいきません。子どもなりに食べ物と自分の体の関係を知り、ある程度管理できるようになることが大切です。

 特に幼児が好むからと言って毎日柔らかい食事ばかり与えるのは問題です。なかでも「おかあさんやすめ」と言われるものは高カロリー高たんぱくなので、なるべく和食中心の献立にすることが大切です。

お(オムレツ)・か(カレーライス)・あ(アイスクリーム)・さ(サンドイッチ)・ん・や(やきそば)・す(スパゲッティ)・め(めだまやき)」

 なぜなら、年をとった時に幼い頃の味に味覚が戻る、と言われているからです。アンチエイジングの観点からも酵素を無駄に使わずに済むスローフードが見直されています。これは体に優しい食事と言われ、みなさんの関心が高まっています。

 身近なことを通じて社会に興味や関心をひろげるという意味から、食べ物に関心を持たせることは良い事です。4〜5歳児になったら、体にとりこまれるとどのような栄養になるかだけではなく、どのような場所でとれるのか(産地)、どのような経路(流通)で手元に届くのかなども話してあげるようにしてください。

 片や食べ物に異常に固執する子どももいます。常に口に何か入れていたい子や、飲物ばかり欲しがる子、食欲を調整できない子もいます。これらを個性と捉えず、自己コントロールの良い機会と捉えて言葉かけをなさることで、精神的な成長を得ることも期待できます。前向きに捉え、がんばってくださいませ。

                                 福岡 潤子