高校生意識調査(3/2読売新聞)  

『IQ140の子どもが育つ遊びのルール』の印税前払い金(わずかな金額です)が○○有限公司というところから送られてきました。これは台湾からの分ですが、他に中国・韓国の分もございます。私の本が日本だけではなく東南アジアの方々にも受け入れていただけることのありがたさと共に、あらためて『この3ヶ国は子どもの教育に熱心な国だなあ』ということを感じました。

というのも、翌日の読売新聞に大きな題字で「勉強離れ、際立つ日本」とあり、米中韓と日本の4ヶ国の中で、日本の高校生は学校の成績や進学への関心度が最も低いという実態が文部科学省所管の教育研究機関による意識調査で明らかになったと書かれていました。

それによると、他の3ヶ国は成績がよくなることや希望の大学に入ることを、現在大事にしていることとしてあげています。それに対し日本の学生は、クラスのみんなに好かれる生徒を目指し、漫画やドラマなどの「大衆文化」「携帯電話やメール」、ファッション・ショッピングなどの「流行」に関心を持っているとのことでした。また、「家族」に対しても他の国に比べ意識が希薄だということでした。

識者の方々は「個性の尊重ばかり唱え、子どもに苦しい思いをさせてはいけないという『子ども中心主義』が信奉されてきたこと。…金銭崇拝の競争社会で、『勉強してもしようがない』という意識を子どもに植え付けてしまったことだ。」。「このままでは労働意欲の低下につながり、少子高齢社会を支えられない。」と述べておられます。

実際に学力が落ちているということですが、なにより私が危惧しているのは、子どもが子どもの意識のまま成人していることです。その結果引き起こされている事件を多々目に致します。

また、自己責任を負うことを知らずに大きくなり、社会自体に責任転嫁している若者が多くいることです。つまり、自ら努力することを最初から放棄しているのです。

自己責任を負う過程の中で、一番必要とされるのが考える力です。物事の因果関係を捉え、問題解決能力を養う時に必要とされ、育っていくものですが、責任転嫁の過程の中で消え去ってしまいます。

頭が良いとか悪いとかの前に、日頃から考える習慣が身についていない子どももよく見かけます。そんな子は叱られている時、何をどのように答えたらよいのか解らず、何に対しても「ハイ」と答えます。たとえ言い訳を問い詰めても、つじつまは決して合いません。なぜなら考えずに頭に浮かんだ言葉を言っているだけだからです。

そんな子が育つのは、叱る側に問題があるからです。どうぞ、叱っている時に「ごめんなさい」だけを要求せず、因果関係をしっかり把握させ、問題点がどこで、何を改善すれば良いのかをしっかり言わせるようにしてください。

余談ですが、先日あるお蕎麦屋さんで初めての事に遭遇しました。そこは、週3日程度お蕎麦屋さんをなさっておられます。自宅を開放し、いかにも素人がしているという空間の中ゆったりと食事をするのを楽しみに、今まで十数回行っております。

私どもが食事中、4歳ぐらいの女の子が座卓の前に立ち尽くし、しばらくじろじろ見ていたのです。何を言うでもなく、しばらくそうした後いきなり私の飲んでいた湯飲みを手にし、そのまま私のほうを見ていました。なにか反応を楽しんでいるような気がしましたが、どなたかお客さんのお連れになった子だと思い、「自分のお席に戻ってね」と言いました。

すると立ち去ったのですが、どこの席にも行かず庭の方に出て行ったのです。その時、お店の人が何か言っていましたが、こちらまではっきり解りませんでした。しばらくしてまた座敷(店)に戻ってきた時、テーブル上を片付けているお店の人と親しくおしゃべりをしていました。その内容や雰囲気からお店の方のお子さんだと解りました。確認したところ、やはりそうでした。

店の子どもや動物がお客さんにかわいがられる例もあります。ですから、お子さんがお店にいること自体を問題にしているわけではありません。

店の方とそのお子さんの会話を聞く限り、お客さんが居て仕事中という意識やそのお子さんを躾けるといった意思は感じられなかったのです。

たとえ子どもでも、じろじろ見下ろされながらの食事はおいしいものではありませんでした。

素人の開いているお店(何年もなさっています)であっても、お金をとって食事を提供している以上、そのような意識をもってほしい、また、「子どものすることだから」と思っておられるのかもしれませんが、最低限お客のテーブルの上のものは勝手に触らないように躾てほしいと思いました。

それ以上に、この子は食事に来るお客さんをどのように捉えているのだろうという思いからか、表情をまったく動かさなかったその子の顔が脳裏に鮮明に残り、しばらく離れませんでした。

                               福岡 潤子