夏休み作品 

護者用プリントから)

 特に暑かったこの夏、親子で頑張って制作した夏休み作品が、今、教室中にあふれています。これだけの根気の要る作業を行なうには親子ともども明確な目的がなければできなかっただろうと思います。

 もちろん宿題としての課題であったということが大きいと思います。でも、多くのお母様方の中にはもっと明確な目標があったのでは、と感じています。

 それは、『制作を通じて、最後まで変わらず頑張る力を身につけてほしい。』というものです。つまり、集中力をきらさない子に育ってほしいという思いが、「何を制作するか」の段階で既にあったように思うからです。

 同様に『手先が器用になることで、将来、いろいろな可能性を広げられるようになってほしい』と思われて、同じ作業の繰り返しや細かな作業を選ばれた方もたくさんおられたように思いました。これは、ただでさえ丸めるという大変な作業の上に負荷をかけたことを意味し、それを仕上げた子どもたちは本当によく頑張ったと言えます。

 外科医に限らず巧緻性が必要とされる職業が世の中にはたくさんあります。将来そのような職業につきたいと思っても、成人してからでは無理ということは意外に多いのではないでしょうか。

 また、何を行なうにも意志の力が必要です。それには努力することが苦にならない子どもになっておくことが重要ですが、怠け心がじゃまをしている子もまだまだみかけます。

 気持ちの上では頑張ろうと思っても、それが持続しないことにより、何も手に入れることができない若者が世の中にはたくさんいます。是非、幼児のうちにこつこつと頑張れる子になっていてほしいものです。

 作品を持参した子ども達のほとんどが就園児です。幼いうちはただかわいいだけで済んでしまいますが、就園児ぐらいになるとお母様方の中でわが子の問題点が感じられるようになり、これを機に解消したいという思いが根底にあると言えます。

 たとえば、姿勢が悪い(取り組む姿勢)、鉛筆を持つ力が弱い(筆圧)、自分勝手にやろうとする(学習する上での素直さ)、せつな的で失敗ばかりする(優先順位)、困った時にどうしてよいのかが分からない(問題解決能力)などです。

 現代では受験結果と云う評価や人と比べるという形にばかり目が行き、一人の人間としてわが子が育っていく中で、幼児期に身につけておいたほうが本人にとって幸せと言えるものに目がいく親が少なくなってきていると感じます。

 そんななか、理解するのに時間はかかっても、当方の言うことをしっかり受け止め、親子で頑張った夏季作品は完成度が高く、それぞれの工夫の跡がそこここに見受けられます。

 この夏、課題作品作りに取り組んだことで、子ども達の中で何かが変わったのではないか、と感じています。夏休み明け、『自分が作った』という晴れがましい顔つきで大きな紙袋を差し出した子ども達の顔には、自分に対する誇りがあふれていたのはいうまでもありません。

 例年なら幼いクラスで見かける退行した子どもがほとんどなく、お母様方が我が子の基本的生活習慣を崩さないよう努力なさったことがうかがえました。どのような言葉かけを行い日々を過ごしたかの結果は必ず親に返ってきます。良い親子関係を作るきっかけになったことを何より嬉しく思っております。

                  福岡 潤子