園経営 
 昨年末から茨城県の利根川沿いにある幼稚園にフィールドワークということで教育実習に行っています。その幼稚園の園庭から土手まではなんの柵も無く、子ども達はウサギのえさのための新鮮な雑草をとりに平気で土手の上まで登り下りてきます。

 また、この寒空に子ども達は裸で乾布摩擦をし、教師も半そでポロシャツにトレーナー、下はジャージという格好です。園長先生を始めみなさんその格好なので、私も初日はブルブル震えながら風邪も引かずに年内は終わりました。今年も今週からスタートしますが、正月のわずかな休みに気が緩んだのか鼻水が止まりません。気を引き締めて最後まで頑張らなくては…。

 前期にうかがった幼稚園は東大のそばにある公立幼稚園として最高峰と言われる園でした。教育課程はどなたが見ても立派な手本となるものでした。園務分掌も細かく分かれ、園の誰もが自分のすべきことが一目でわかるようになっていて本当に感激いたしました。

 公立ということで、教師を育てるシステムがしっかり整備されているなか、先生方がしっかり育っていることを感じ、先生方は幸せだなと思いました。

 それでは私学はどうかという話になりますが、私学と言っても千差万別で、一つ一つの園がやっていることは何もかも、良くも悪くも違うというのが本当のところだと思います。

 そんななか、今回の園は前期の園同様、こどもたちや先生方がしっかり育っているのです。「先生一人一人を育てるという観点」と、「結果を出している」という点ですごいと感じています。

 子ども達一人一人が幼児期に必要な発達をきちんとできるように幼稚園はあると私は思うのですが、そのためには何と言っても環境が大切です。

 自然環境・物的環境・人的環境といろいろありますが、人的環境としての教師がプロとして育っているかどうかで、子どもに対する援助が違ってきます。そのプロとしての意識を育てたり、学級経営を行なうスキルをもった教師に育てることが園経営として、とても大切だと思います。

 つまり、私の言っているのは利益をあげるための幼稚園経営ではなく、園全体をどのように考えまとめていくかと云った園経営のことです。

 その意味からどちらの園も園長先生が立派であることが共通して言えると思います。そうでなくては園経営そのものがなりたたないのではないかとも感じています。

 両園の先生がたは、お一人お一人がもともと教師としての素晴らしい素質をもっていたと言えると思います。でも、教師としてはアマチュアからスタートしています。それをどこまで高めていくかが園長としての仕事でもあります。

 今うかがっている園の園長先生は、園の行事ではご自分が前に出ることをあまりなさいません。でも、逐一ご覧になって先生方にご自分の保育観を伝える努力をなさっています。ときには厳しいと感じることもあります。でも、その一言一言が先生方の実になり、できたときの達成感や充実感につながるのだということが、たった二週間のなかでも感じることができました。また、人に任せることでその人を育てるということもおっしゃっておられました。任せる以上は任せても大丈夫なようにしておく必要があり、我が身を省みる良い機会ともなりました。

 幼稚園には保護者もいます。その保護者や地域の人々もすべて園経営のうちです。今年の4月に還暦を迎える私としては、園のなかで先生方と一緒に動くのは大変なこともあります。でも、皆さんのお仲間として入らないと見えてこないものがあると感じます。その意味から大学院生になったこと、教育実習にうかがう機会を得た事は本当にラッキーだと感じております。

 ただ、この四週間を作り出すには、母と子のオムニパークの保護者の皆様のご理解・ご協力がなくてはできませんでした。

 また、保育学会に出す論文のために、卒園児の保護者の方々の何十人かの方々にはアンケートという形でご協力いただき、励ましのお言葉もいただきました。

 本当にありがたいことだと思っております。この場をお借りして、皆様にお礼を申し上げたいと思っております。本当にありがとうございました。 本年もよろしくお願いいたします。

                               文・福岡潤子