還暦を迎えて

 母の一人として 

4月末のことです。娘達や義理の息子たち、そして孫(6ヶ月)から?深紅のバラとリアドロの人形をプレゼントされました。実は還暦祝いだったのです。母の日に因んで私も母親の一人としての思いをまとめてみました。

赤い帽子・赤いベスト・赤いマフラー・赤いブラウスと、身につけないものをプレゼントされてもどうしようと思っていたのですが、なんと私の大きな花束でした。(後日、生まれて初めてのバラ風呂も楽しみました)。『わぁきれい、わぁすごい、わぁ重たい!』といった感じで、60本の存在感と共に『年を重ねてきたんだなぁ』と還暦を実感いたしました。

自宅のリアドロ人形は、籠のようなベビーベットで寝ている赤ちゃんと、お母さんに絵本を読んでもらっている女の子です。今回いただいた人形は次女になって我が家にやってきました。幸せな瞬間をきりとるリアドロの世界そのもので、お母さんを取り囲む3人の幼子は、見ているだけで温かいものにつつまれ、幸せな気持ちになります。  


 当日、我が娘達を前にいろいろな意味で安心し、久しぶりの穏やかな気持ちを抱くことができ、自分のやりたいことをできる幸せを再認識しました。上の娘の結婚式の時にはまだ笑う・泣くぐらいだった孫が、眠いと目をこすり名前を呼ばれると反応し、生え始めたばかりの下の前歯をみせて笑う様子を見て、自分がおばあちゃんになる日がきた、本当にそうなったのだということを最認識しました。


 まだ60歳、もう60歳。今後何年生きるかは神のみぞ知る。あまりに忙しい生活を続けてきた結果、検診で血圧が高いと指摘され生まれて初めて薬を飲む生活を始めて二週間あまり。常に優先順位を意識して走り回ってきたこの一年。お医者様に脅されたのを機に初めて健康に気をつけようと思いました。


 大学院を出た後、大きく生活を変化させるつもりはないけれど、やりたいと思っている事は少しあります。ひょっとしたら、まったく違う人生が待っているかもしれません。今後10年と思っていたのが、年を重ねてもお元気な大学教授たちにふれ、20年かもと思うようになりました。だったら引き出しに入れるものをまだ増やしたい。  

来年3月には修士課程を終えますが、知りたいこと・自分のものにしたいものはまだあります。『なんて欲張りなおばあちゃんなんでしょう』。半分自分にあきれながら、そう思える自分がいるのは私を支える皆さんのおかげだと感じます。今までの私の人生に関わった方々、良いことも悪いことも含めて全部の事柄・人々に感謝です。偶然誕生日当日、卒園児が真新しい中学の制服姿をみせにきてくれました。1歳から在室した子ども達だったので成長した姿に感慨もひとしおです。卒園児はすべて私の娘や息子。でも、お母様方の母親ではありません。お間違いのないように。                     

                       (文、福岡潤子)


          

 

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