9月18日付け
創造性を育てるには

大人が変われば、子供は変わる

 リクルートスタートページ(生活)に載せた30話〔子育てを成功させるために〕の中で「子供の努力に答えよう」という章があります。その中で私はこのような話をしています。

 

 「子供の作品を飾りましょう。」と提案、「頑張った子供の努力に見合うような、見栄えの良い作品に仕上げる工夫を周りの大人がして下さい。そうする事で、子供は自分の力に驚き、次の作品を作る意欲を育てます。 

 「美術は苦手」な方でも、情報の中から(インターネット、図書館の本、ショーウィンドーほか)選択することはできます。まずは真似て、製作してみよう。大人がコツを掴んだら、子供と相談しながらやってみましょう。

 色々な制作方法があり、身近な材料で様々なものが作れる事が分かれば、何気ない身の回りにあるものでも見る目が変わる。つまりセンスが磨かれます。まずはお母さんがその努力をしてみましょう。

 

 お読みになってお気づきのように、これは大人についてだけ言えることではありません。幼児にこそ、当てはまることなのです。大人の中には幼い頃からこのような方法を無意識のうちに実践し、引き出しの中にたくさんの経験が詰まっている人もいます。そういう人は、過去に製作したノウハウをもとに新たな方法を生み出すことが出来るようになります。

自分の中でこのような物を作りたいというイメージをもとに製作できるようになると、体験を通して頭の中のものを具現化する喜びを得ることが、可能になります。つまり、人の考えつかないもの(独創性)(独自性)を作り出すことで、製作する喜びはもちろん、自分を表現する喜びを得ることが出来るのです。

 

言葉で表現する・文字で表現する・絵で表現する・体で表現する・音楽で表現する・いろいろな表現方法がありますが、自分を表現することは子供にとって大きな喜びです。もし、その喜びを身につけることが出来れば大きな自信となり、生きる力が一つ加わったと言っても良いと思います。

 

 自分を表現するレベルに到達するには、いくつか身につけなくてはならないことがあります。その一つが表現するテクニックです。まず手始めに、丁寧に色を塗ることが出来る・ハサミで思い通りの線をきれいに切ることが出来るなどの基本を、身につけます。この時必要になってくるのが、最後まで遣り通す意志の力(努力)と、集中力が不可欠です。

 

 最初からこれらが身についている幼児はいません。完成度が高ければ、それだけ次のやる気につながります。途中で投げ出したくなった時は励ましが必要です。が、時には「やりたくなかったら止めよう。せっかくここまで頑張ったのに残念だったね。」と、さっさと片付け、誰かのために頑張るのではなく自分の為に製作していることを、毅然とした態度で知らせることも最後までやりぬかせるコツです。

 

次に、「たくさんの引き出し」の例をあげましょう。

・ 絵の具できれいなストライプを描くには

あらかじめストライプの巾に切ったテープを紙に何本も載せておく。その上から絵の具で色塗りを行い、そっとはがすときれいなストライプが出来る。

・ 同じ形や大きさのものを一度に貼るには

あらかじめ糊代が見えるように重ねておき、一度に糊付けを行う。

・ 一度に同じ形のものを作るには

(ハサミの技術や切る素材に応じて)2〜3枚量ね、何個所かクリップで固定し、ハサミで切る。切りながら切り落とした部分のクリップは、はずしていく。

 

このようなテクニックは、ただ教えるのではなくその都度簡単な作品に仕上げていくことが、子供にやる気を持たせるコツです。

そしてテクニックを身に付けると共に、いろいろな身近な材料を多角的に捕らえる力を伸ばすことも大切です。つまり、紙テープを目の前にして、ただ伸ばして貼るだけの発想しか浮かばない、というのでは困るのです。

 「適当な巾に切り、きつく丸めて糊付けし、糸を通してネックレスにする。画用紙に垂直にテープを貼り、線に見立てて形を現す。直に糊付けすることでブロックの一つ一つに見立てる」といったように、たった1枚の紙でもいろいろな可能性を浮かべることが出来る子になってほしいものです。その為には、体験(自分で製作した)を通して身につけていかなければなりません。

 

 また、丸いものを切って製作する場合も同様です。つい大人がコンパスで円を描き、切りぬくところから始めてしまいがちです。がそれより、家の中に丸い形の描けるものはないか、探すことから始める事が大切なのです。なぜなら、そこからモノを捉える学習が始まっているからなのです。

茶筒の底・茶碗の縁・置物の土台・壁掛け・掛け時計・朱肉の容器・台所用品など、すぐにいろいろ見つかるはずです。幼児は、それらのものを丸を持っているもの、として普段から捉えてはいないのです。「円が描けるもの」という切り口を与えることで、初めてそこに着目します。

 

 柔軟なものの見方を身につける上で、いろいろな素材を使用してモノを製作することは、非常に有効な手段です。

 積み木を重ね、見えないところの数を当てる練習ばかりするのではなく、幼児のうちに何を育てるのか、家庭の中で過ごす時間の中で何を学習することが出来るのか、今一度考えてみて下さい。

                    福岡潤子

 (9月第2週オムニパーク保護者用プリントより)

夏休みの宿題としていくつか課題を出し、それに添う形で出来るだけ独創性にあふれた作品を作成してくるようお願い致しました。オムニパークで実践され、課題別に分けた作品をご紹介していますので、是非ご覧下さい。

夏休み課題作品

 


      

                                                ヒット カウンタ