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                      父の日

 日頃行なっている紐通しの延長として、当日はお父さんと遊ぶ「ホースロープ」を作りました。出来あがったホースロープでひっぱりっこをしたりブランコ遊びをしたりと、子供たちは大喜びでした。『お父様方も子供たちと積極的に関わっていただけたら』というオムニパークの願いが通じ、父の日参観後、お父様方の「接し方が良い方向に変化した」という声が、お母様方から多く聞かれました。以下は、参観後お話した内容です。

 

 ここ数年増加している少年犯罪により、父親の役割の大切さがクローズアップされて来ております。しかし幼い子を前に、父親としてどのように接したら良いのか戸惑っているというのが現状ではないでしょうか。先日行われた保育学会で知り合った愛知県立保育大学の角田教授は、犯罪などの問題行動を起こす中学高校生たちを数多く見てこられた経験から、「育て直し育児学」(相川書房)という本の中で、幼年期に段階をしっかりと踏んで成長する事の大切さを述べられています。逆に、段階を踏んでこなかった場合、どこかで躓きが出やすいことに触れ、幼い時に戻りそのプロセスを踏む事で次のステップに成長した例を載せておられます。

 青年期を迎えた時思い通りの人格に成長しなかったと、嘆き悲しむ人が今の世の中には多くいると思います。しかし例え「勘当だ」と言って関わりを持たなかったとしても、どちらか欠けるまで“親子”であることに変わりはありません。どうせ子育て(幼児教育)をするのなら、子育てそのものを楽しみ我が子との間で悔いの無い人間関係を確立したいものです。

 幼児期は価値観の伝承がしやすい時期であり、自分の考え方や生き方の基本的な部分を我が子に伝える時期だ、とも言えます。例え接する時間は短くとも、きちんと幼児と向き合いお互いの本音の部分で分かり合うことが重要です。つまり、相手が幼児だからと軽く捉えず、真剣に子育てをすることです。

 日本の幼児はともすれば“お子ちゃま”という特別な存在と捉えられてしまいます。が、幼く見えても幼児は一人前の人間であり、話せばきちんと理解することができます毎年父親参観を行ないその度にアンケートを実施しております。今回のアンケートにも「話しても解らない場合」というフレーズがありました。これはコミュニケーション能力が、親子双方に不足しているからなのです。まず幼児には、コミュニケーションの手段としての言葉を身につけさせましょうご両親は、幼児がどのような物の見方や感じ方をするのか知ることが、大切です。

 ある卒園児の保護者が、卒園してから次のような言葉を寄せて下さいました。「オムニパークでは、その年齢一番ふさわしい量の刺激を、一番適切な方法で、我が子に与えていただきました。」この言葉は、教育を行なう上で忘れてはいけない大事なポイントをついていると言えます。

 ベネッセが過去に行なった調査で母親たちの知りたい事のトップは、「上手に叱る」でした。叱るという行為そのものが、先ほど触れた価値観の伝承以外の何者でもありません。躾についても同様です。幼児はそれを身につけることで、自分で考えて行動する子に成長します。が、その叱り方も一歩間違えれば幼児のやる気を失わせ、自信を喪失させてしまう事もあります。父として母として上手に叱るスキルを身につける事はもっとも重要で、これは学習することで初めて身につくものなのです。出産は本能、子育ては学習という持論を持つ私としては、「母親だけではなく、父親もまた子育てを学習する事で、プロの父親になっていくと考えます。奥様を一日でも早くプロの母親に育てることで、皆さんのご理解を得、楽しい子育ての一助になればと思っております。

 最近とみに小子化が問題になり、保育園と幼稚園の垣根が取り払われたり、地域でのサポート体制の強化が見直されたり、育児に対する助成金が出るなど、いろいろな動きがあります。が、これらは真の解決にはなりえません。なぜなら、次代の母親予備軍の若い女性達の間に、『子育ての楽しさや子を持つ事のメリットよりも、子育ての閉塞感や母親だけが育児を押し付けられるという思い込み』があるからです。が、最近頻繁に起きている幼児をおきざりにする事件や虐待事件を見る限り、単なる思い込みとばかり言えなくなってきています。お忙しい中積極的にお子さんと関わろうとするお父様方の姿が今回のアンケート結果から伺えますが、より一層の努力と、世の中の一人一人の父親母親が、お互いをサポートすることこそ一番大切なことなのではないでしょうか。

 環境ホルモンの影響からか、望んでいるのに子宝に恵まれない夫婦も世の中には多く存在します。せっかく恵まれた我が子です。子育ての旬である幼児期を、多いに楽しんで頂きたいと、心より願っております。                     

                     母と子のオムニパーク 

                          福岡 潤子

ある事例(参照)

 情緒不安定になった息子(中学生)がある日「胸を触りながら添い寝をして欲しい」と母親に頼みました。その母親は、息子が幼い頃、心配事が重なり心が息子以外の事に向いていた事を思い出し、反省しました。そこで息子の要望を受け入れ、大きい赤ちゃんだと思って「良い子ね」と頭をなでたりあやしたところ、良い方向に向かっていったそうです。   

 

付記

 怒ると叱るの違い

 怒るとは、叱る側の感情をぶつけるだけのもの。

 叱るとは、その行為をする事によって教育的成果が得られるもの。

 幼児が何故叱られたのかを理解し『今後はやらないようにしよう』と思わなければ、叱った意味がない。

 

 体罰

   基本的にするべきではない。

「悪い事をすると、こんな痛い目に会うよ」という教えは大人でもイヤなもの。反感しか持たせない。

4〜5歳ぐらいになると、『痛いのを我慢しさえすれば、やってもいいんだ』と、開き直る子もいる。

他人に危害を加えた時、或いは本人が他人の痛みを認めなかったり解らない場合のみ、同じ行為を本人に行なう。これは「他人の痛みを知ること」で、体罰ではない。

 

 人間として生きていく上で大切なのは、自分を活かし、他人を認める事

 自分を活かす為には自分を表現する力が必要。自分の意見や考えを皆の前で話す力や書き表す力、絵や工作で表現する力、運動など体を使って表現する力など。

その力を身につけるには根気強さや集中力が不可欠。なにより意志の力が必要

 表現するには表現するだけの豊かな中身が必要。

なにより人間としての巾を広げることや、個性が育たなくてはならない。

 人生は独りでは生きられない。いろいろな人がいることを知り認めることができれば、心が波立つことを押さえることができる。相手を認めるには我慢を知ることも大切

 また、幸せを幸せと、感じられる子供にしていきたいと思っている。

                            1999年 620