10、数えられるってどんな事(現象だけを見ず、その意味を知る)

 

我が子が他の子より少しでも発達していると自慢したくなるのが人情です。特に数が数えられたりすると、頭が良いと錯覚しがちで「うちの子は10迄数えられるの」「九九も言えます」と得意げに話すお母さんもいます。

そんな人の子に実際に物の数を数えさせてみると、口では「5」と言っていても、指で指している物は3個目というような事が少なくありません。いくら『唱える』事が上手でも、正確に数えられなければ『数えられる』とは言えません。

 

 そこでそのようなお母さんに“唱えると数えるの違い”を説明し、次の話をすると、数えられるとはどういう事なのか、初めて理解します。

「数えるといっても、数える物全てが綺麗に並んでいたり、ずっと静止していたりと数え易くはなっておらず、そんな時幼児は一度数えた物を再び数えたりします。輪に並んでいる物の場合は、起点と終点をしっかり把握できなければ正確に数えられません。こうした事は出来ていますか。

そして、こうした集合数だけでなく、前から何番目といった順序数もわかりますか。こうした事が出来て始めて、数えられると言えるのです」

 

数えるという事は日常生活に直結するスキルです。つまり、生活の中で活かせなければ、数える事が出来ても何の意味も持ちません。

そう考えるとプリント等で数を学ばせるより、「本を3冊読んであげるから数えて持っていらっしゃい」というように、身の回りの物を上手く教材として活かした方が本当の意味で数を学ばせる事が出来るのです。

また、一言に数えると言ってもその中には色々な要素が含まれます。まず記憶力。3の次は4というように数系列を記憶する必要がありますし、バラバラの物を数える時は数え終えた物を記憶しなければなりません。その為には注意力も併せて必要になります。更に、動く物を数えるなど内容が高度になれば、集中力も必要になります。

つまり、数える事を習得させる事で、そうした力を身に付けさせる事も出来るのです。そこで、基礎的な数の能力が身に付いたならば、時には締切時間を設け早く数えさせて集中力を高めるなど、ちょっとした工夫で子供の能力を更に伸ばす事も出来るのです。

 このように、あるスキルを身に付ける事によって何が出来るようになり、途中の過程でどんな力が身に付くかが解るようになれば、あなたももう立派な幼児教育者です。

 

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