11自分をコントロールできる子(情緒を安定させる)

   今の若者の流行り言葉で“きれる”という言葉があります。自分の感情が高ぶった時すぐに言葉に出したり人や物に当たるという行動は、自分をコントロール出来ない結果です。また考える力や本質を見抜く目を持たない事も大きな要因と言えます。

   そうした事は本来幼児期に養っておかなければならないのですが、今の若者がそうした部分を欠落させてしまった結果が昨今の事件の多発であり、それを見た文部省の慌てた対応に繋がっているのです。

 

   オムニパークでは1、2歳児クラスの大きな教育目標として“コミュニケーションの道具としての言葉を引き出す”があります。この年齢のポイントは素直な心と我慢を知り、その結果情緒を安定させる事です。

   例えば他の子が持っているおもちゃを黙って奪ったらトラブルが起きます。その時「貸してちょうだい」という言葉が言えたらどうでしょう。ところがその一言が言えません。今迄言わなくても通用したので「言ってごらん」と言われること自体が受け容れがたく、またその一言を発する時間も惜しいのです。

   ですからその両方に打ち勝たないと「貸して」と言えるようにはなりません。しかしその一言を言えば多くの場合欲しい物が貸してもらえると学習した時、幼児は言葉のメリットを学習し、大騒ぎしなくなります。つまり情緒の安定した聞き分けの良い子に成長するのです。

  

   この時期重要なことは親が幼児の奴隷や召使いになってはならないという事です。あなたは子供がわがままを言った時に結局本人の言う通りにしていたり、幼児だということで見逃してはいませんか。

   こんな場面を思い浮かべて下さい。おもちゃを奪われた子が泣いた時子供は泣いている相手を突き飛ばしたりします。その時母親はどのように対処するでしょう。相手に「ごめんなさい。痛かったでしょ」そして我が子に「○○ちゃんだめでしょ。謝りなさい」。ところが当の本人はそれにはお構いなく奪った物で遊んでいたり、さっさと逃げてしまっています。

   この例の母親は、本来幼児本人にさせなければならない部分を代行してしまっているのです。誰でも自分に不利な場にはいたくありません。でも、そんな自分の心をコントロールし、人と向き合う事を、幼い内から身につける事が大切なのです。

   そうした積み重ねが落ち着いて物事に対処し、本質を見極め的確な判断が出来る人間を作るのですから。

 

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