12、自分をコントロールできる子を育てるテクニック(八つ当たりをさせない)

自分をコントロール(我慢)できる子にする事の重要性が社会から注目され初めています。これから色々研究されることでしょう。

そうした点に長年幼児と携わって私が今一番有効だと思うのは“八つ当たりをさせない”事です。何でも思い通りになると思い込んだ子供の多くは“怒りん坊”です。泣きわめくだけでなく、大概物に八つ当たりし、物を投げつけるのです。その様子は自分のイライラが理解してもらえない悲しさに満ちています。

そんな時の私は、まず物を投げる手を押さえます。そして気迫をこめて、そのような行為は何がなんでも許さないと幼児に向かいます。幼児も必死ですから噛み付いたり蹴飛ばしたり「痛い!」と叫んだりします。(痛いという言葉を発すると、大人がひるむのを子供は良く知っています。ですから押さえるといっても掴んだり痛くはしません)

そして観念する迄続けます。中には泣き疲れて寝てしまう子もいます。でも、その後はウソのように良い子になります。それはこちらの思いが伝わるからなのでしょう。『あなたが好きなの。こんな事をしてはいけない。分かって!』この気持ちが大切なのです。

 

自分をコントロールする機会がないという事は、知らず知らずに“世の中は何でも自分の思い通りになる”と思わせてしまう問題をはらんでいます。

長年色々な子供を見てきてこんな事を感じます。「幸福は、努力した人の方がより深く感じることが出来る」。我慢を知っている子供は、自分の思い通りに事が運んだ時に本当に嬉しそうな顔をします。が、そうでない子供ほど、いつでも「気に入らない」と大騒ぎします。

私も学校を出たての時には“幼児は良い環境で育てる事が理想的”と思っていました。今は違います。“幼児期こそこれから生きていく力を養う為にも、敢えてハードルを設定し、それを乗り越える体験をさせる事が大切”と思うようになりました。

 

あるお母さんが「努力して接しているのに解ってくれない」と言ってきました。同じように努力しても、ある子には十分伝わり、ある子には伝わらない。感じ方捕え方は一人一人違うのです。いつも不満ばかり抱えている子に育てるより、幸せを幸せと感じる子に育てられれば、何より本人が楽しい毎日を送る事が出来ます。

その為にもお母さんは、幼児が我慢する場があるか、日々の生活を見直してみましょう。

 

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