13、子供にスポークスマンは要らない

 

オムニパークでは入室前に一日入室制度を設けています。幼児教室を初めて体験する方や他の教室に通っていた方など様々な方が授業を見学に来ます。

すると就園児クラスあたりを見学した方から「先生、うちの子は今日が始めてでしたから尋ねられても答えられなかったんです。先生が言った事はうちの子はみんな分かっています」と度々言われます。

でも「表現できなければ、こちらには分かりません。あなたは入試などでも、いちいちうちの子は分かっています、と言って歩くのですか」と思います。これではまるで我が子のスポークスマンではありませんか。

 

実際、入試では言語表現が大きな必要条件となっています。なぜなら、その子の中身を知るのに一番分かりやすいからです。人間はものを捉えたり考えたりする時言葉を用います。ですから“幼いうちは知能指数の高さと語彙の多さが正比例する”と言われています。

また“考えることが出来ない子供には、言語表現力も育たない”とも言え、こうしたポイントを見抜かれると当然入試でも不利になってしまいます。

その入試に限らず人間として一番大切な表現する部分を、母親が子供から奪っている、あるいはその能力を伸ばしてあげない事は、人間として育つ機会を奪っていると言っても過言ではありません。

 

では、どうすれば自分でものを考える子になるのでしょう。それは2歳をすぎた頃から、答えをすぐに与えないことです。この頃から「あれは何」「どうして」が始まります。その時「何々よ」と答えを言っても子供は納得しません。何回でも同じ質問を繰り返します。

もちろん答えてあげる事も必要ですが、「何だと思う」とか「どうしてだと思う」と、一言言ってあげて欲しいのです。すると最初の内は「わかんない」との答えが返ってくると思いますが、年齢が上がるに連れて自分なりの考えを言うようになります。それを評価してあげることで子供の表現力は飛躍的に伸ばすことが出来るのです。

 

私の教室の子供たちは、卒園する迄に12マスの国語ノートに2〜3ページは作文を書くようになります。すると友達に手紙やカードをあげたりして、考えた事を文字で伝える喜びも知ります。私自身も『こんな事を考えていたの。こんな風に捉えていたの』と、まだ生まれて数年しかたっていないのに、自ら色々な事に気づき考え表現出来るように成長したに事に感動を覚えます。

 

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