16、泣いている=かわいそう、という方程式は成り立たない

続けて読んで頂いている方には、常に子供の言う事を真に受けたり、言う通りにする事が必ずしも正しくない事がお分かり頂けたと思います。

よくお年寄りが「泣いている、かわいそうよ」と言います。年齢をとるほど子供に対し何でも「おお、よしよし」という気分になるのでしょうか。

私もそろそろ幼児を見る目が孫を見る目に変わってきていると感じます。ただ、私には責任がありますので、何でもよしよしという訳にはいきません。むしろ子供が成人した時の事を考えると、「今が大事、今この子としっかり対峙しなくては。」と、ますます思うようになっています。

 

最近では若いお母さんの中にも、子供が泣き出すとかわいそうと言う方が多くいます。でも本当は、泣かせるのは自分が嫌だからなのではないですか。子供の笑顔は素敵で、誰だって泣き顔より笑顔が良いに決まっているからです。

でも、待って下さい。子供は何故泣くのでしょう。赤ちゃんの頃は言葉で伝える事が出来ないので、泣いて教えていました。しかし幼児に成長した以上は、何かして欲しい事があるのなら、泣かずに言葉で言えば良いのです。

それを泣いている子に「どうしたの、これが欲しいの」なんていちいち聞いてあげていたら、いつまでも自分からものを言える子にはなりません。また、何か気に入らなくて泣いている場合でも、同じように言葉で言わせるべきなのです。

 

幼児はペットではありません。ペットは話せませんし、自分単独で生活できません。餌をもらったり、一生誰かの世話になり続けます。でも幼児は違います。いつかは社会に出て自立する運命にあります。それでなくてもその前に幼稚園や小学校に行くようになり、すぐに両親の目の届かない時間を持つようになるのです。

そうした時に集団の中で皆とうまく関われなかったら、その方がかわいそうではありませんか。“泣けば済む”という理論も幼稚園ではある程度許されても、小学校では通用しないのですから。

 

ただ、逆に泣いている時こそ成長のチャンスとも言えます。

自分でどうしたら良いのか分からないので子供は泣きます。「こうすれば泣く必要はないのよ」という事を教えてあげましょう。泣いている事をきっかけとして、大いに成長させてあげましょう。

子育ては根気と忍耐です。泣いているという行為だけを見ずに、内面をしっかり捉えてあげましょう。

 

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