17、満足感がチャレンジ精神を生む

 

今の豊かな時代にチャレンジ精神を持つのは難しいものです。しかしこれ無しに困難に打ち勝つ事が難しいのも事実です。

では、いかにしてチャレンジ精神を養うのか。満足感を味合わせる、それが答えです。人間は欲深い生き物です。一つの事に満足しても、より満足感を味わいたいと思います。

幼児も例外ではなく、例えば“学ぶ喜び”を知った子は、貪欲な迄にその喜びを味わう努力をします。それは学ぶ事で自分が向上する事を実感でき、その充実感を幾度も味わいたいと思うからです。しかし、その為には一つ一つの事をしっかりやり遂げる“根気や集中力”が必要になります。

 

以前子供は本来プライドが高く、向上心を持っていると記しました。が、現実は思い通りに動かない為に、それらは往々にして成長段階で崩れがちです。しかし、困難を克服する力があれば崩れかけたものも修復する事が出来ます。そして、その原動力が“根気や集中力”なのです。

また、この“根気や集中力”は学ぶ喜びを知る事無くして身に付きません。なぜなら、出来た時の満足感が次の目標を設定し、困難に立ち向かう力に繋がるからです。

 

こんな例があります。興味の向くものだけに関心がいき、後は無関心の我が子を心配したお母さんに、こう問いかけたのです。

「お母さん、子供に声をかける時しっかり子供の目を見ていますか。声をかけた事で伝えたと思っているだけではありませんか」

するとお母さんは「まるで、家での様子を見ているみたいですね」と驚かれ、そうした自分の姿勢をまず改めました。

そこで更なるアドバイスとして「折り紙でも何でも良いから簡単な物から根気よく教えて下さい。一人で出来るようになると『自分はこんなに出来るんだ』と自分に誇りを持ちますし、友達に作ってあげるなど遊びの幅も広がります」

それをお母さんが実行した結果、その子は制作が得意になったのは勿論、途中で「疲れた」と決して言わず、何でも最後迄やり遂げる子に変身したのです。

 

こうした事は幼児期には容易に出来ますが、年齢が高くなると余計な知恵や情報が入る分、難しくなります。ですから、幼児期こそ根気や集中力を養う絶好のチャンスなのです。

幼児期に、出来る喜びとそこから生じる満足感を多いに味あわせ、次へのチャレンジへと結び付けさせる機会を出来る限り用意すること。それが自分から積極的に人生を切り開く力に繋がるのです。

 

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