2、子育てにどういう意識を持てば良いか |
私は自分の幼児教室に新しく入室したお母さんにこんな話をします。 「例えて言うなら子供を庭木とすると、親は庭の持ち主、教師は庭師です。家人は木そのものを良く知らないと水や肥料を不足させたり与え過ぎて腐らせたりします。上手に育てるには、その木をよく知り木を観察しながら育てる事が大切なのです。 また、育つのに時間を要する木に『他の木のように大きくならない』と気に病んでも意味ありません。今どういう状態なのかをしっかり見守って上げることが大切です。 庭木は放って置いても育ちますが、虫が付いたり勝手に茂って枝が邪魔になったりします。でも家人には朝晩の水撒きなど日々の世話をしながら『去年は余り実が生らなかったから今年はきっと成り年だわ』なんて言う楽しみがあります。庭師はいつもその木を見ている訳ではありませんが、呼ばれればプロの目で木の育ち具合を見極め、的確に対処してくれます。
木は育つにしろ枯れるにしろある程度時間がかかります。つまりこれさえ与えれば良いという特効薬も無いかわりに、世話が大変と騒ぐほどのこともないのです。子育ても同じです。毎日しっかり観察さえしていれば変だなと気が付いた時に専門家に相談しても間に合うのです。 ただ、庭師もベテランばかりではありません。素人同然の庭師もいます。逆に素人の中にも玄人顔負けの素晴らしい庭を育てている人もいます。 皆さんにはそうした母親のプロになって欲しいのです。子供を産んだだけでは素人の母親です。“子供とは”について正しく広く知ること、そしてそれを焦らず確実に実践に活かすことでプロの母親になることができます。その努力をなさって下さい」と。
今、子育てに自信を失ったり嫌いになりつつあるお母さんがいたら、ここが踏ん張りどころです。 木であれば育てるのに失敗しても根こそぎにしたり植え替えることが出来ます。でも我が子はそういう訳にはいきません。 教師はあくまでオブザーバーと捉え、まずは親が子育ての当事者としての自覚を持つこと。それと合わせて木と同様に子供もある程度放っておいても育つんだ。成長の早い木も遅い木も花を愛でる木もおいしい実を付ける木もいろいろあるんだと、良い意味で開き直ってしまいましょう。すると余裕をもって子育てができるようになります。この余裕が子育てには大変必要なものなのです。
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