21、本好きな子の親のメリット(想像力・構成力・色々な世界を覗く)

最近は幼稚園の内に多くの子が文字の読み書きができ、中には足し算引き算まで難無くこなす子もいます。でも本当に算数や国語の力がついたと言えるでしょうか。

答えは勿論ノーです。ある程度の計算の答えを暗記で答えられても数の概念が分からず、文字は書けても自分の考えを表現できなければ、それが出来る意味は何もありません。それらを表現力として身につける方法はありますが、その前に中身そのものを豊かにする方が大切です。急がば回れ。まず本好きにさせる事です。

 

今、中学校受験は考える力を問われています。ある有名中学の先生が学校説明会で「必ずしも算数の答えが合っていなくても良いのです。それよりどんな考え方で答えを導いたのか、そのセンスを見ます」と言っていました。また他国に比べ日本の子供は文章題に弱いと言われ、手を変え品を変え国語力が試される傾向にあります。これは想像力が貧困で、仮に何か想像してもそれを文章にして人に伝える表現力がないからです。

そうした事態に対処する為にも、幼い内から本を何冊も読ませましょう。本を多く読めば色々な世界が覗け想像力が刺激されます。面白い本には登場人物だけではなく話の展開の面白さがあり、自然と構成力も身につきます。何より自分の体験できない事を、本の上で体験でき視野が広まります。

ここで忘れてならないのは様々な分野の本を読む大切さです。子供は将来どの分野に進むか分かりません。ですから女の子にも科学的な本を積極的に与える事が大切です。

ノーベル賞の湯川博士が中性子を発見した時「計算上は何かあるのは分かったが、後は想像力だった」と言っています。科学者と想像力、一見不似合いのようですが、これからは専門分野と他の分野を関連付けて物事を捉える力が一層必要とされると思います。

 

今の青少年は他人が自分をどう見るかばかり気にしています。多感な時期に本という人生の標本を通し“自分について深く考える”経験が不足しているからです。

ある中学教師が「自分の将来を考えなければいけない時期に、本当の意味で自分を捉え考える子が少ない」と嘆いていました。こうした狭い人間関係が全てとの勘違いが昨今の事件の元凶に思えてなりません。

そうした年齢に達して大慌てする前に、とにかく幼児の内に本に親しませ、じっくり読む時間の中から心を育てましょう。

 

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