26、自分で決断しない子供たち(目立つことを嫌う・責任転嫁)

最近若い世代で、語尾を上げる話し方が流行っています。これは自分の話の内容を言い切る自信が無く、言い切って目立ったり、責任をとるのを避ける風潮が根底にあります。実は幼児の中にも同様の風潮が見られます。教師や親の目を非常に気にして何かをする度に辺りを覗い、誰かと同じだと安心します。つまり自信の無さの表われと共に、間違っても一人ではない安心感も求めている訳です。

これは失敗を怒ったり回避させる大人の責任と言えます。怒る事が誤りなのは言う迄もありませんが、回避させる事も同様に決して良い事ではありません。失敗から何かを学ばせるといった発想がそこには無いからです。成功する事のみを求められた子は失敗を恐れ、チャレンジ精神の萎えた子になってしまいます。またいつも周りが守ってくれると、何かあっても周りに責任を転嫁しがちです。これでは、自分の責任を自分で取る自立した人間は育っていきません。

 

こうした事を避けるには子供の意志を尊重し、自分が認めてもらう喜びを子供に感じさせる努力を大人はするべきです。実際に行なうと、大人がやった方が楽だと感じられるでしょう。けれども子育ては根気と忍耐です。大人が楽をしているうちに、幼児が身につける時期を逸してしまうと考え、じっと我慢しましょう。

但し、私はわがままを許せとは言っていません。正当な理由や根拠も無く何でも言う事を聞いてしまうのはわがままを作るだけです。その見極めには十分注意しましょう。

 そして、まず手始めに、比較的どうでも良い事から幼児の意見を聞いてみます。「早く決めなさい。こっちでいいでしょ」とは言ってはいけません。自分で決断する一歩は、こうして始まっているのですから。また「やっぱり向こうの方が良かった」としても選んだのは自分なのだから我慢させます。

決断が満足のいく結果だったら、次回も自分で決断しようとするでしょう。時には失敗して、周りの意見を聞いた方が良い場合もある事を学習する中で、より良い決断が下せるようになり、また自分の決断に自信を持つようになります。

 

 ただ、その後で間違った評価やお門違いの責任を押し付けられると、折角の自信も萎え、目立つ事を極端に嫌う神経質な子になるケースもあります。それを防止するには時間がかかっても正しい判断を、大人が幼児に広く伝えていく以外にありません。

 

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