28、いじめと子育て

 いじめが悪い事は言うまでもありません。いじめに遭って自殺したり、相手を憎んで仕返ししたりする事は、人間として不幸です。

しかし、いじめに関する研究は十分されていません。今迄はされる側にも問題があるとされましたが、最近は誰でもされる可能性があるというように変化してきています。また、いじめ問題の解決は加害者の側に焦点を当てるべきですが、まだその研究も殆どなされていない状態です。

 

現状では加害者の多くは反省も加害者意識もありません。これが大きな問題である事を、大人は子供にもっと説明すると同時に、いじめの根底にあるものを多くの大人、中でも母親は知るべきだと思います。

 というのも子育ての中で、いじめを容認・助長する、言ってはならない言葉を町中で良く耳にするからです。

例えば、店の物を勝手に触れてはいけない事を教える時によく「ほら、恐いおじちゃんが見てるわよ」と母親が言います。しかし、これでは“人が見ていなければやって良い”ととれてしまいます。誰が見ていようがいまいが悪い事はしてはいけないのです。

「これはお店のおじちゃんの大事。触らないでね」と言って、まだ触ろうとしたら「あなたの大事な△を皆が勝手に触ってもいい?嫌でしょ。じゃ、触るのやめようね」これで子供はちゃんと理解します。

 

また、長年幼児教室をやっていて色々な親子関係を見てきましたが、初めは多くが、幼児に対する接し方がわからず、うまく意志の疎通がとれないでいるものです。

その結果、子供に対し諦めて放任するタイプ、攻撃や邪魔物扱いしてしまうタイプ、そして自分を責めて優柔不断になってしまうタイプとおおよそ三つのタイプに別れます。

私はそうした兆候を早い時機に見つけ、カウンセリングして父兄は幼児を家族の一員として捉えられるようにします。すると、幼児は自分に誇りを持ち他人を認める余裕が持てるのです。

しかし、関係が不安定な時に、母親が「本当にぐずなんだから」「落ち着きのない子ねえ、少しはじっとしていて」等の攻撃的な言葉を発すると、攻撃された子供はそのフラストレーションを弱い者へぶつけてしまうのです。

いかがですか、なぜ私が母親に特化していじめの根本を理解するように言ったかお分かり頂けたと思います。このようにちょっとした意識不足が子供をいじめの加害者の道へと追いやってしまう事を私たちはしっかりと認識する必要があるのです。

 

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