7、子供のプライドの育て方

 

良い意味でのプライドを育てることは、自分の存在価値を高めることに繋がります。ではそのプライドはどう育てればよいか。それは簡単です。どうすれば傷つくかの逆をすればいいのです。

子供のプライドを傷付けると悪い他己意識を育て、それが行動に影響することはこれ迄ご説明した通りです。そこで “自分が人にされたり言われたら嫌なことは、子供にもしない。”これを鉄則にするのです。ですから話しかける際も命令禁止でなく「何々したらどうかしら」「何々しましょう」と言うようにしましょう。そして日頃から自分で決める習慣を付けさせるのです。「早くしなさい。ほら、これでいいでしょ」などは問題外です。

 

ほめてプライドをくすぐるとか、子供はほめて育てましょうとかは本やテレビなどでよく言われることです。確かにほめることは良いことですが『ほめてもらうのが当たり前』と思ったり、『ぼく(私)は何でも出来るんだ』と慢心したりするケースもあります。本当に言葉でほめることは有効なのでしょうか。

 

ある時父兄が「先生、押入の中が子供の作品だらけで大変なんです。」と笑いながら言ってきました。どうしてかと言うと、その父兄は子供の手がけたものを決して捨てないからです。それは何かにつけ私がこんな話をするからです。

〜「うちの子は絵が嫌いなんです。いくらほめても描いてくれません」と言うお母さんに、私は「描いたものをその辺にポイっと置いたりしていませんか?いくらほめてくれても子供はどう思うでしょう。例え広告の裏の走り書きでも冷蔵庫や目に付く壁など子供の見える所に貼って下さい。『お母さんは僕(私)の作品を大切にしてくれている。よしまた描こう』と思うようになってくれますよ。作品は暫く飾ったら、そっと処分すればよいのですから」そして「大切なのは、絵が描けたり何か物を作るようになること以上に、自分にプライドを持つようになることなのです。そうすると自信が付いて嘘のように伸びますよ。」〜

ところが一度作品として大切に扱うと捨てるに捨てられなくなる、と言うのです。

これについてはこんな事も考えられます。もし大きくなって精神的に不安定になったとき、幼児期の作品を母が大切にとっておいてくれたのを見たら「あなたのことをこんなに愛しているのよ」なんて何回も口にするより雄弁だと思います。如何でしょう、早速作品を居間に飾ってみませんか。

 

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